如来 すがた 説明
虚空蔵菩薩  虚空蔵ホ菩薩は、虚無のような広大無辺の福徳・智慧を包蔵した菩薩で、「求聞持法」という行法の本尊として日本では古くから信仰されてきた。”求聞”とは見聞きしたことを記憶して忘れない智慧のことで、求聞持法の行法は、虚空蔵菩薩の真言を100日あるいは50日のあいだに100万回となえる(不眠不休で4.32秒に1回)というもの。この難行をまっとうしたなら、集中力がついて、見聞きしたことを忘れない智慧を授かる。この智慧を「自然智」という。若き空海が太竜ケ岳(徳島県)や室戸岬(高知県)でこれを修したエピソードはよく知られている。
『ノウボウ アキャシイ ギラバヤ オンマリキャ マリボリソワカ』
文殊菩薩  「3人寄れば文殊の智慧」という諺でよく知られた菩薩であり、文殊はインドで生まれた実在の人物ともいわれる。獅子の背上に乗り、蓮華座に坐すことで頭に五髻を結い、右手に智慧の象徴である剣(梵篋・金剛杵を立てた蓮台のこともある)をとる姿が特徴。普賢菩薩とともに釈迦如来の脇侍としてあらわされ、釈迦三尊を構成する。
 日本三文殊として、奈良県桜井市の安部文殊院、京都天橋立の切戸の文殊、京都金戒光寺の文殊塔にある文殊が知られる。
普賢菩薩  普賢菩薩は、大乗仏教の菩薩のなかでも、とくに仏の理性を示す菩薩で、諸菩薩の上位とされる。文殊菩薩とともに釈迦如来の脇侍として知られるが、一般的には文殊と対になってまつられる。これは、文殊の”智慧”に対して普賢の”行願”といわれ、智慧も行も仏教では欠かすことのできないものだからである。 
弥勒菩薩  弥勒菩薩は、56億7千万年後(地球は現在46億歳)に、お釈迦さまの次に仏の地位につくと約束された菩薩だ。お釈迦さまの代わりをつとめ、あとを補うことから”一生補処の菩薩”とも、また未来世の成仏が約束されていることから未来物・当来仏ともいわれる。
 弥勒菩薩の梵語名マイトレーヤは、慈悲・慈尊と訳し、「慈悲から生じたもの」を意味する。また弥勒はインド実在の人物とされ、お釈迦さまの弟子となっている。
観音菩薩  いわゆる”観音さま”のことで、正しくは観世音菩薩・観自在菩薩という。観音は人々を一切の苦しみから慈悲をもって救う菩薩で、諸菩薩のなかでも最も広く信仰されている尊格である。”観世音”とは、読んで字の如く、救いを求める声(音)を感じじるや、すぐさま救いの手を差しのべるという意味がある。
 観音菩薩が人々の人気を得たのは、『法華経』の流布による。『法華経』普門品第二十五がとくに「観音経」と称され、観音がさまざまに姿を変えて衆生を救うという三十二応現身を説いている。
 また勢至菩薩とともに阿弥陀如来の脇侍として従い、往生者が阿弥陀如来に導かれて西方浄土に来迎する際は観音菩薩が往生者の魂を蓮台に乗せて運ぶ
地蔵菩薩  地蔵菩薩は、お釈迦さまの入滅後から弥勒菩薩が現れるまでの”無仏の時代”に人々を救うため、この世に現れた。僧侶がモデルといわれる。
 地蔵菩薩に人気が現れたのは平安時代以降のこと。地獄思想の定着とともに、観相によって阿弥陀仏にすがる貴族階級に抵抗し、庶民は地蔵菩薩に救済を求めた。
 また地蔵は”賽の河原”で死んだ子どもを救うとされ、子安地蔵や安産の仏、水子の仏としても信じられた。
般若菩薩  般若は「智慧」を意味し、もっとも書記に成立した大乗経典を偶像化したもの。梵語名プラジュニャー・パーラミターが女性名詞であり、諸仏は般若菩薩の力によって悟りを開くことができることから”般若仏母”と称される。
 日本では般若部経典類の本尊とされ、眷族に十六善神を伴い、般若十六善神としてあらわされる。
その他の菩薩  阿弥陀二十五菩薩や三十三観音霊場などのほか、金剛界曼荼羅や別尊曼荼羅に配される四摂菩薩や八供養菩薩、五秘密菩薩、外院の十六菩薩などがある。
 まれに般若多羅や馬鳴、龍樹などの祖師たちが菩薩としてあらわされることがある。


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