ジュズとネンジュ

ジュズとネンジュ
 こんにちでもインドの人々の多くが白服を愛好している。暑い地方では純白がよく似合う。これに対し出家した男子は濁った色のカシャーヤを着るのがしきたりとなっていた。この色はあまり好まれる色ではない。地味で目立つことがなく、着飾るに役立たない衣服を着ることで世俗の欲をすてることができると考えられた。カシャーヤは仏像などにみられる幅の広い、体にぐるりと巻くようにして着る衣服である。

 袈裟・・・古代語のサンスクリット語で「カシャーヤ」
 カシャーヤ・・・「濁る」という意味。赤みがかかったどんよりした黄色。

初期の僧衣
アンダエ 室内用の僧服。腰巻のように下半身を覆うだけ。
ウッタラソウ 面接する際などの通常の僧衣。左肩から斜めに着る袈裟で、右肩はあらわになっている。→偏袒右肩(へんたんうけん)
ソウギャリ 外出着。両肩が隠れ(通肩つうけん)全身をおおう仕立て。僧が町を歩くとき肌が触れてはいけないことになっており、人ごみを分けて行くような態度は許されないことになっている。

ジュズとネンジュ
 袈裟のほかに納衣(のうえ)というものがある。納衣というのは端切れを集めてつないだ、つぎはぎだらけの僧衣である。

 衲(納)・・・ころもの意味のほか、縫いつくろった、つづり合わせたという意味もある。

 初期の仏教では、カシャーヤのほかにつぎはぎの納衣も着ていた。僧がおしゃれをすれば世俗の欲が生じ罪を犯すことになりかねない。また、派手な身なりでは盗賊に襲われる危険もある。そこで納衣が僧の衣服にふさわしいということになった。

 しかし見立てによっては芸術の域に達した「百納衣」などが生まれたり、色や大きさもさまざまなぼろをつなげることで”巧まざる偶然の芸術”が各地で見られたらしい。


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