如来 すがた 説明
釈迦如来  釈迦如来は、苦行の末に悟りを開いて、人間から仏になったお釈迦さまのことをいう。
 お釈迦さまが仏教の始祖であることから、釈迦如来に対する信仰は、時代と場所を問わず盛んで、日本でも今日に至るまで多くの宗派で信仰されている。また、仏教が伝来した国々では、多くの釈迦如来像が建立されている。
大日如来  大日如来は、お釈迦さまがまだ王子だったころの姿をモデルにしている。通常、如来は華美な装身具を身につけないが、大日如来だけが宝冠・瓔珞などで着飾っている。これは大日如来が宇宙の真理を神格化した真言密教の教主であることから、王者の装いである菩薩の姿がふさわしいとされたためである。
阿弥陀如来  阿弥陀如来は、寿命が無限であることから無寿如来ともいわれ、インドの国王がモデルとされる。この国王は王位を捨て、師である世自在王如来によって示された極楽浄土に往生するため48の誓願を立て阿弥陀如来になったもの。
 この誓願のひとつによって、阿弥陀如来は自分を信じる者すべてを極楽浄土に往生させることを誓った。
薬師如来  薬師如来は、病気平癒などの現実的な願いをかなえてくれるということから人気がある。
 薬師如来は、まだ菩薩であったころ、衆生を救うため12の大願を説いた。そのなかに「除病安楽」が説かれており、これはどんな病気でも治すというものであった。また、このほかにも衣食を満たす、悩みを解決する、地獄へ堕ちないように導いてくれる、といった現世利益が説かれていることから、古来より多くの人々の信仰を集めた。
 日本でも飛鳥時代から現在に至るまでは信仰は途絶えることなく、薬師如来像の作例も多い。
五智如来  密教の金剛界曼荼羅に登場する仏で、大日如来のそなえる5つの智慧を5つの如来にあてはめたもの。大日如来を中心に東西南北に配置され、東に阿T如来、西に阿弥陀如来、南に宝生如来、北に不空成就如来がいる。これらを総称して五智如来という。
 5つの智慧とは、
@法界体性智(大日如来の智で、最高の智)
A大円鏡智(丸い鏡に全てが写るように清浄な智)
B平等性智(あらゆる存在の平等を観ずる智)
C妙観察智(衆生をよく観察して説法し、疑いを説く智)
D成所作智(衆生を利益するためにすべきことを成就させる)というもの。
毘盧舎那如来  毘盧舎那如来は「華厳経」に登場する。仏の智慧のはかりしれない大きさを象徴し、十方諸仏を包括し、広大な仏教世界の中心に君臨する。宇宙の真理を人格化した仏である。密教における大日如来は毘盧舎那如来をさらに発展させたものである。
 なお東大寺の”奈良の大仏さま”は毘盧舎那如来である。


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