ジュズとネンジュ

ある和尚様からお聞きした お膳の意味 について
昔は幼児死亡率が高かったことから「七つ前は神のうち」といって七歳までは、

まだこの世に命が定着していない状態にあると考え、

成長を確認出来るまで、人別帳(戸籍)に載せませんでした。

七歳にして人間の仲間入り「一人前」と考えられ、

氏神様に「氏子入り」のお参りをし、健やかな成長を祈願したのです。

ちなみに、平成14年の5歳未満の乳幼児死亡率はわずか3%ですが、
江戸時代の乳幼児死亡率は、推定で50%前後とかなり高い死亡率でした。
たとえば、徳川11代将軍家斉は側妾約40人に55人を生ませて有名ですが、
15歳以上の生存者はわずか21人で40歳を超えたものは7人、
34人(62%)が2歳未満で亡くなっています。
将軍の子供ですらこのような状況です。


栄養事情の悪い農村部で幼児死亡率がさらに高かったのは言うまでもなく、

母親自身も十分な栄養を取れなかったので、

赤ん坊が生まれることは決して当たり前ではありませんでした。

今は栄養や医療が充実していますので

赤ん坊は当たり前に生まれ当たり前に育つ時代です。

当たり前なので「生まれる」「生まれた」と言いますが

当時は「授かる」「授かった」と言う表現をしたといいます。

現在では、人が死んだと言えば年をとったおじいちゃんやおばあちゃんですが、

昔、死んだといえば子供が多かったようですね。



ここから本題です。

昔は、お葬式に呼ばれると、ご先祖様の墓や仏壇に手を合わせ

「今日は○○さんの家の葬式によばれました。

私は当家のご先祖様からつながる一族を代表し、ご法事の席に座って参ります。」

と言って(という思いで)参列したそうです。

ご法事の席で用意されたお膳の料理は手を付けず、持ち帰り家族に食べさせたそうです。

その栄養によって、自分の家族が命をつないでいく。

誰かの「死」によって、お膳の料理にありつけることができ、その料理によって生きる力をわけてもらう。

「お膳」にはこういった深い意味があるのですよ。



といった内容のありがたいお話を聞きました。 

今、近親者のみで行う家族葬が多くなり、

「家族葬だからお膳は無くて良いですね」なんて簡単にしゃべっていましたが、

これでは薄っぺらいんだなとしみじみ勉強させていただきました。 

合 掌


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