三角布と白いサラシ

三角布
三角布は額に三角形の布をつけた幽霊のイメージがありますが、死者の装束のひとつです。
この布は天冠、宝冠、額烏帽子、卍布…と地方や宗教宗派によっていろいろな呼び方があるようですが、目的にもさまざまな説があるようです。ネットで調べたところ下記の記述がありましたので紹介します。

@閻魔大王に会うためのルール
 閻魔大王に会うには帽子をかぶる決まりがあり、それを三角形の布で代用したという説

A子どもとなって生まれ変わってほしいという願いを表現
 三角の布はかつて子どもが装束としてつけていたので、死ぬと子どもに返るという説から、それを願ってつけたという説

B魔除け
 平安時代、陰陽師や法師がこれを額につけてお祓いの儀式をしていたが、死者が冥土に行く途中に悪霊や鬼にとりつかれないように「魔除け」としてつけたという説

C高貴な身分を表現
 天冠は白い三角布だけのことをさすわけではありません。お雛様の頭についている冠も天冠と言いますし、能の装束のひとつにも天冠があります。能の場合、高貴な役柄の人がかぶるものとして使用されたり、神様や天女などを表現するために使用されたりしているようです。そう考えると、死者に付ける天冠は「最後に高貴な身なりで送ってあげたい」という昔の人の思いが込められているのかもしれません。


<参考文献>人生儀礼事典 倉田あつ子他 編 より




白いサラシ
 葬儀に際し、近親者は「イロ」と呼ぶさらしの布切れを着用する。男性はひもを作って首から前にたらし、女性は襟元に挟み込んで肩の後ろにかける。葬儀中、告別のお焼香が終わると取り去る。イロは昔の喪服。現在の喪服は西洋流で黒となっているが、昔は男女とも白が正装であったらしく、イロは白無垢の略式と思われる。白無垢の言葉のとおり白は清浄無垢を意味し、白衣を着て忌明けまで心身を清らかにして喪に服した。

<参考文献>人生儀礼事典 倉田あつ子他 編 より

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